崖っぷちオヤジの日本経済・政治の深読み裏読み

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zoom RSS 第2話その4 「ゼロ金利政策」のもたらしたもの

<<   作成日時 : 2007/03/04 02:09   >>

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  さて、前回に引き続き、「ゼロ金利政策」について考えてみましょう。

 金利とは、とどのつまり「お金」の値段です。「お金」という商品に対して需要が供給を上回れば商品の値段(=金利)は上がります。逆に需要よりも供給が上回れば、商品の値段(=金利)は下がります。

では当時の「お金」の需要と供給の状況はどうだったのでしょうか?

不景気で収益が上がらない企業は当然資金が不足してきます。赤字運転資金はどんどん膨らみます。実際は「お金」の需要は強かったのです。しかし日本経済は依然として停滞したまま。日本の企業金融を支えてきた不動産を担保とする融資は土地価格の低下によって事実上機能しなくなっていました。

加えて銀行はそのような赤字運転資金はまたしても不良債権化する恐れがあるとして貸出しに応じず、それどころか土地価格低下に伴う担保割れの状況を解消するために、それまでの貸し出し分の回収に乗り出しました。いわゆる「貸し渋り」「貸しはがし」といわれる行動です。

よく「銀行とは晴れているときに傘を差し出し、雨の日には傘を取り上げる。」と言われますが、本当にその通りです。銀行と言えば聞こえは良いですが、結局本質は「金貸し」にすぎないのですから・・・・。それでも「カネの余っている人間からカネを集め、カネを必要としている人間にカネを貸す」という仕組み・機能はどうしても必要なものです。だから存在していけるわけですが・・・・イヤハヤ。さて話を元に戻しましょう。

需要はあるのに貸し出しはしない。しかし銀行には「お金」がダブついています。そのまま手元に置いておいたのでは、預金者に支払う利息分だけ損失が発生します。

そこに登場したのが「ゼロ金利政策」です。これは日本銀行が一般民間銀行に貸し出す金利(=公定歩合)をゼロにするということです(注1)が、これを基準として預金者に支払う金利水準、貸し出しの際の金利水準が派生的に決まっていきます。

この金利をどうするか?という政策を「金融政策」と言いますが、これは政府が行う政策とは全く別物で、建前上政府から完全に独立した中央銀行である日本銀行が政府の意向とは全く関係なく独自に決定できる政策であるべきものなのです。が、現実には政府と日銀がガッチリとスクラム組んで竹中氏の提唱する「ゼロ金利政策」を推進したのです。

この結果、皆さんもご存じの預金金利ゼロ時代が到来したわけです。100万円預けて1年間の利息が100円という時代です。日本という社会は他の欧米諸国に比べてそもそも良く貯蓄をするという傾向があり、ましてや土地も株にも低下している現状では銀行に預金しておくのが多くの国民にとって最も安全な資産保全でした。

  デフレ下では「お金」を持っていればいるだけでその価値は上がり、逆に借金をしていれば何もしなくてもどんどんその負担は大きくなっていくのです。

  預金金利が限りなくゼロに近づくというのは銀行にとってこの上もなくありがたいことで、集めた預金を一般企業向け融資に振り向けるのではなく、大量発行された赤字国債の購入に充てたのでした。このシステムによって銀行はリスクを最低限に抑えて確実に利ザヤを稼ぐことができるようになりました。銀行だけが確実に儲かる仕組みが出来上がったのです。この仕組みを図示すると次のようになります。


    
国民----預金---→銀 行←==公的資金投入==== 国(政府)
    ←・・利払い・・・・・   -----国債購入-----→
   (利息ほぼゼロ)     



  このシステムによって国民は預金の利息収入約50兆円を失ったと言われています。銀行は史上空前の利益を上げ、4大メガバンクのうち3行が既に投入された公的資金を国庫に返納するまで至りました。国は国で赤字財政の穴埋めに発行する大量の赤字国債を銀行団に引き受けてもらうことができました。(しかも超低金利で)。
国と銀行にとっては実においしい政策であったわけです。

  やっとこの話の結論が見えてきました。小泉内閣が胸を張る「不良債権の処理を完了させた」ということの実態は、「国民の預金金利収入を取り上げて、その資金によって銀行の不良債権を一掃した。」ということにほかならないです。
何のことはない、日本国民にツケを全部押しつけだだけなのです。そうすることによって銀行を救い、日本の金融システムを守ったということです。

 公的資金を返し終わったメガバンクがさっそく自民党に企業献金を申し出たのは当然ですよね。自民党の政策によってガッチリ助けてもらったのですから。


  でもよく考えて下さい。これが胸を張って言える政策でしょうか?
国民から直接銀行を救うための資金として特別な税金を徴収するという政策をとったら、国民はそれを支持したでしょうか?おそらくNOです。そこで考えられたシステムが、国民から改めて資金を徴収するのではなく、それまで得ていた預金金利収入を取り上げる形をとることによって、自分が直接負担させられているという実感なしに、事実上必要な資金を吸い上げるという実に狡猾な方法です。

  頭が良いといいますか、詐欺師的といいますか、悪魔的といいますか・・・・。
私には卑怯者の手口としか思えませんが、いまだにこのことを知らないでいる多くの国民が小泉前総理や竹中氏を偉大な改革者と見ているのかと思うとゾッとします。

安倍内閣のあまりの低迷振りを見かねた自民党首脳の中から、小泉副総理待望論が出てきているとの話もあります。このことひとつをとっても、小泉前総理に対する国民の評価がいまだに高いことが窺われます。国民の皆さんどうか目を覚ましてください。

  このシステムは銀行救済のためのシステムですが、多くの一般企業や個人に対してはどうだったのでしょうか?次回はそのへんを少し考えてみたいと思います。

 (注1)現在では短期市場金利(無担保コールレート)の誘導目標
     という表現がとられています。

第2話その4 了

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