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zoom RSS 第2話その3 不良債権処理と小泉政権の誕生

<<   作成日時 : 2007/02/27 02:01   >>

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 さて、前回は「銀行業界を救済するために、日本国政府が救済策を講じ、巨額の不良債権処理のために公的資金を投入した」という事実を述べましたが、実際にはどのように行なわれたのか、その経緯を追ってみましょう。


  公的資金とは税金に代表される資金ですから、国民の納得と理解を得ることが必要でした。そのためには、「見せしめ」といいますか、「このままでは大変なことになる。」という危機感・ショックを国民に与えることが早道ということだったのでしょう。山一証券と北海道拓殖銀行をつぶし、日本長期信用銀行を国有化するという荒療治にでたのです

  拓銀も長銀も破たんさせなくてもよかったのです。なぜなら他のメガバンクも資産の不良化はドッコイ・ドッコイだったのですから。両行がスケープゴートに選ばれたのは、どの銀行も資産内容は悪いながらも、この両行がその中でも更に悪い状態であったこと政治力が弱かったこと取引先に日本経済に対して影響力の大きな企業が少なかったためかと思われます。

  このことは、長銀よりも更に資産内容の悪かった日本債権信用銀行が選ばれず、長銀が選ばれたことをみてもある程度想像がつきます。

  長銀は政治家がらみの貸出は極めて少なかったのです。一方、日債銀は政治家がらみの貸出が多いことで有名な銀行でした。しかし、資産内容が悪いのはもう如何とも出来ません。長銀を潰した以上日債銀だけが生き残るには無理がありました。そこで、日債銀も長銀が国営化された1998年10月23日の2ヶ月後の12月に破綻・国有化されたのでした。

  話を戻しましょう。「不良債権額の明確化と公的資金の投入」が、俗に言う不良債権処理の第一段階でした。これは小泉内閣の仕事ではなく、確か小渕内閣の時代の政策でした。


 「公的資金の投入」までは当時の状況を考えれば誰がやってもそうせざるを得ない政策だったと思います。(拓銀や長銀をあえてつぶす必要があったかどうかは、大いに異論のあるところですか・・・・」。

次の問題は、「投入した公的資金60兆円をどうやって回収するか」です。
不良債権を損切りして、公的資金によってそれを補填し、財務的な健全性を取り戻した銀行にどんどん収益を上げてもらって返してもらうしかないわけですが、しかし傷ついていたのは銀行業界だけではなく、日本経済全体でした。

  銀行からの借り入れによって不動産投機に手を出した企業は銀行の不良債権処理によってある意味方が付いたのですが、本業以外の儲かる副業として多かれ少なかれ多くの企業が不動産投機に手を出していました。

  このように自己資本で不動産投機に手を出していた企業も、銀行と同じように巨額の含み損失を抱えるに至ったわけです。もう本業の儲けで何とか解決できる次元を超えていたわけです。

  こんな状況で企業が健全な事業活動を推進し、そのための資金を貸し出すことで銀行が収益を確保してゆくという図式は当てはまりませんでした。

  企業も銀行も土地の売却を推し進めますが、「まだ下がるのではないか?」との市場の思惑から土地価格はさらに低下を続けます。企業業績は当然悪化し、株価もどんどん下がり続けます。いわゆるデフレスパイラルへの突入です。

  銀行は以前から進めてきた不良債権や不良化した不動産の売却を更に加速させます。適正な価格さえ最早わからなくなってしまった債権や不動産は外資による「ハゲタカ・ファンド」によって買い叩かれ、間接的に日本企業や不動産がどんどん外資に買い上げられていきました。

  再三話題に上げている長銀も、不良債権控除後12兆円の資産を持ち、公的資金4兆円が投入された大銀行ですが、それがわずか10億円で、しかも既存債権が20%以上その価値が減じたら、その部分を日本政府が補填するという特約付きでアメリカの投資ファンド、リップル・ウッドに売却されたのです。何とも凄まじい話です。

  折しもNHKで土曜ドラマ「ハゲタカ」というのが放送されていますが、あのドラマはこのあたりの事情を忠実に描いています。まさにこのような非常な「日本売り」が始まったのです。「日本売り」の話はまた別の機会に改めて考えてみたいと思います。


  企業は自己存続をかけて大規模なリストラによるコストの削減に走ります。弱い立場の社員や下請け中堅中小企業がその犠牲になり倒産が続出、巷には失業者があふれする事態に至ります。小泉内閣が船出した2001年はこのような閉塞感に日本中が覆われていた時代でした。

  このような閉塞感に満たされた時代には、国民はカリスマを求めるというのが歴史の示すところです。小泉純一郎という今までの自民党の政治家とはひと味もふた味も違い、発言が明確・簡潔で、天性の抜群のパフォーマンスの才能ともあいまって、国民は小泉という人物にカリスマを見たのでしょう。そして国民の多くは冷静な判断力を欠き、彼こそが救世主だという幻想を抱くことになっていくのです。

  小泉首相が誕生したときのあのフィーバーぶりはもの凄いものでした。今でもあの当時のことを思い出すと、私自身はゾッとします。「こうやってヒトラーは生まれたんだ。」と正直思いました。

  さて、救世主の期待を一身に背負った小泉総理首相ですが、実は経済問題は得手ではなかった。そこで、基本的な考えを同じくする同窓慶応大学の教授であった竹中平蔵氏をブレーンとし、彼に金融経済政策の一切を任せることになります。そして、竹中氏は小泉氏の絶大な国民の支持を背景に、彼の理念である「日本をアメリカと同様の資本至上主義の国にする」ための現実的な施策を実行していくことになるのです。

  話を元に戻しましょう。「どうやって投入した公的資金を回収するか?」「どうやって企業業績を回復させ、経済全体を好転させるか?」この難問に対して竹中氏がとった方策が「ゼロ金利政策」でした。

  昨2007年2月21日に日銀が2度目の利上げを発表したことで、ニュースが取り上げていますね。昨年2006年7月14日に6年間続いたゼロ金利政策から脱し、短期市場金利を0.25%として以降、初めての利上げで、短期市場金利を0.25%引き上げ、0.5%としました。

  では次回はこの「ゼロ金利政策」について考えてみたいと思います。

第2話その3 了

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